2025.11.07
大腸内視鏡検査の下剤について

大腸内視鏡検査の下剤について
この下剤は、内視鏡検査のための下剤=腸管洗浄剤といわれるもので、通常の便秘薬で処方される下剤とは異なります。1時間以内で飲んでいただくことで、消化管の中の食べものを洗い流します。この間トイレに5~10回程通います。安全性や副作用についてですが、腹痛などはほとんどありません。吐き気や嘔吐がみられることもありますが、こちらも極めてまれな事です。
下剤の選び方について
当院では洗浄効果に加えて患者さまの嗜好(味や形態)・年齢・排便状況・既往症を参考に最適な下剤を提案させて頂いております。
ニフレック

- 発売日:1988年
- 服用量:薬液2.0L
- 味:塩味
- 洗浄効果:良好
- 形態:粉薬(水で溶解)
マグコロール散

- 発売日:1998年
- 服用量:・薬液1.8L
- 味:スポーツドリンク味
- 洗浄効果:良好
- 形態:粉薬(水で溶解)
ピコプレップ

- 発売日:2012年
- 服用量:薬液0.15L+水1.8L
- 味:オレンジ味
- 洗浄効果:優良
- 形態:粉薬(水で溶解)
モビプレップ

- 発売日:2013年
- 服用量:薬液1.0L+水0.5L
- 味:梅味
- 洗浄効果:良好
- 形態:粉薬(水で溶解)
サルプレップ

- 発売日:2021年
- 服用量:薬液0.48L+水1.0L
- 味:レモン味(濃厚)
- 洗浄効果:優良
- 形態:ボトル(溶解不要)
ビジクリア

- 発売日:2016年
- 服用量:50錠 + 水2.0Lもしくは薬液1.0L + 水1.0L
- 味:グレープフルーツ味
- 洗浄効果:良好
- 形態:錠剤タイプあり・粉薬(水で溶解)
下剤の種類と特徴についての紹介
ニフレックの飲み方
- 前日
・朝~昼は通常食OK、夕食は検査食または消化の良い低残渣食(うどん、白粥など)を摂る。
・夜21時以降は絶食。水やお茶は飲んでよい。 - 検査当日朝(検査の4~6時間前から)
・溶かしたニフレック2Lを、1時間で500~600mLを目安に、200mLずつ15~20分おきにゆっくり飲む。
・必要に応じて追加の水分(お茶や水)を500~1000mL程度飲むと排便が促進される。 - 排便の目安
・通常、服用開始から1~2時間で排便が始まり、5~10回程度排便を繰り返す。
・排便が透明~薄黄色の液体状になり、固形物がなくなったら腸管がほぼきれいになったサイン。
マグコロール散
大腸内視鏡検査で下剤が必要な理由
大腸内視鏡検査では、肛門からスコープを挿入し、大腸内を直接観察します。下剤を服用せずに検査を行うと便により視界が妨げられてしまい、質の高い検査ができません。便により小さな病変を見逃す可能性があり、がんの早期発見が遅れるリスクが高まります。
また検査中にポリープを切除した場合、腸内に残った便が炎症を引き起こすこともあります。下剤を服用し、大腸を十分に洗浄したうえで検査を受けることが、正確かつ安全な検査・処置につながります。
下剤内用時の工夫
- 冷やして飲む;冷たくすると飲みやすくなることもあります。冷蔵庫で冷やしておくか、氷を浮かべるなどして頂いても良いです。
- ストローを使う;ストローを使って舌の奥に流し込むと、味を感じにくくなり飲みやすくなることもあります。
- 飲料の併用;同じ飲み物でなく、指定されたものの範囲ですが、お茶の次はスポーツドリンクなど異なる飲料を組み合わせて飲んで頂いても良いです。
- 前日の食事を工夫する;前日に消化のよい食事(お粥、うどん、スープなど)を摂ることで排便がスムーズに得られ、下剤の効果がスムーズに出ることがあります。
下剤を飲む場所:院内or自宅について
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院内 |
自宅 |
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メリット |
スタッフが様子を見ながら内用する、気分不快・嘔気などの変化に対応しやすい |
早朝から内服開始すると、午前中に検査を行うことができる |
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下剤の効果が弱かった場合に追加などの対応がしやすい |
院内の滞在時間が比較的短い |
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来院までの便意の心配がない |
慣れた環境なので、リラックスしやすい |
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デメリット |
院内の滞在時間が長くなる |
腹痛や嘔気などの急な症状への対応が難しい |
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早くても9時以降の内服開始。検査時間は早くとも昼頃になる。 |
下剤の効果が弱かった場合に追加の判断がしにくい。場合によっては、検査開始が夕方までずれ込む可能性もある |
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プライバシーが保たれていない場合がある → 当院では個室や専用トイレを完備してプライバシーを確保しております |
自宅から医療機関まで遠い場合、来院までの間の便意・排便が問題になる |


