
GUIDE
腹痛外来
ABOUT
当院の腹痛外来について
腹痛は最も一般的な症状であり、そして原因も多岐にわたります。最も多くの腹痛の原因となる要因は消化器系統の異常が関連していることが多いとされています。一方、腹痛であっても上腹部(胃部)の痛みでは、心筋梗塞など心臓由来の痛みの可能性も考慮することが必要です。当院では心電図や各種血液検査が院内で実施可能であり、15分で結果が判明します。さらに腹部超音波や腹部レントゲン、さらには胃カメラや大腸カメラも当院で実施可能な体制を整えております。腹痛で不安で受診を悩んでいる方は、一度当院へご相談ください。
URGENCY
受診した方がよい腹痛とは
特に“緊急性”の高い腹痛とは、早急に手術が必要な腹痛のことです。この緊急性の高い腹痛の特徴は、ある時突然発症することです。緊急性の腹痛の背景としては、臓器が”詰まる”、”捻れる”、”破れる”ことが原因として起こる場合が多く、激烈な痛みを特徴とします。その他にはアルコール多飲歴のある方や、出血所見など併発する症状がある場合も緊急での受診が推奨されます。
歩くとお腹に響く腹痛 (腹膜炎の可能性:急性虫垂炎・腸穿孔など)
エビ”の様にお腹を丸めると楽になる腹痛 (急性膵炎の可能性)
みぞおち付近(胃部)をゾウに踏まれる様な圧迫性の腹痛 (心筋梗塞の可能性)
嘔吐が止まらない腹痛 (腸閉塞・イレウス・胆嚢炎など)
冷汗を伴う腹痛(腹膜炎、心筋梗塞など)
徐々に増悪していく腹痛
突然発症した腹痛(大動脈解離など)
吐血や血便など出血を伴う腹痛(出血性胃潰瘍穿孔、虚血性腸炎など)
これらは典型的な”緊急性”のある症状です。専門医は情報を収集し、すぐに対応が必 要な緊急性の高い疾患が隠れていないかを最初に考えます。
CAUSE
腹痛の種類と原因について
腹痛の部位によって、考えられる疾患も変わってきます。以下の図は腹部の部位を分類し、それぞれの部位の典型的な腹痛の原因を示しています。
1.心窩部痛(胃部)
みぞおち(胃部)の痛みで第一に考えないといけない疾患は心疾患です。特に心筋梗塞に代表される虚血性心疾患は象に踏まれる様な圧迫感のある痛みが特徴です。その他の原因としては逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、急性胃粘膜病変(AGML)、胃アニサキス症、総胆管結石症、急性膵炎などが挙げられます。前日に生魚の摂取がある場合などは胃アニサキス症を疑うきっかけになります。
2.右上腹部(右季肋部)痛
胆嚢炎や胆嚢結石症などは、食後1~2時間程度で発症する痛みが特徴的です。その他肝臓からの痛み(急性肝炎、肝膿瘍、Fits-Hugh-Curtis症候群)などが鑑別になります。胆嚢炎は吐気・嘔吐を伴うこともあります。また黄疸(体が黄色くなる)を伴っている場合は、胆管が結石で詰まる総胆管結石の可能性があります。
3.左上腹部(左季肋部)痛
急性膵炎や脾臓梗塞などが鑑別になります。また血便を伴う場合は虚血性腸炎も鑑別になります。背中に広がる痛み(放散痛)の場合は腎結石、尿管結石の可能性もあります。
4.側腹部痛(右/左)
側腹部から背部にかけての痛みは尿路結石や腎梗塞など泌尿器科系の痛みの可能性があります。また皮膚のブツブツした水疱が広がる場合は帯状疱疹が考えられます。(皮膚の異常を認める前に痛む場合も多いです)
5.右下腹部痛
時間の経過とともに心窩部痛(胃部)から右下腹部に移動する痛みは急性虫垂炎(通称:盲腸)の可能性があります。また大腸憩室炎や感染性腸炎、その他の大腸炎もこの領域に好発します。また卵巣疾患や妊娠合併症(異所性妊娠)など婦人科系疾患も下腹部痛全般の症状になります。立った状態で下腹部が一部膨隆する場合は鼠径ヘルニアなども考える必要があります。
6.下腹部痛
女性であればまず婦人科系疾患の可能性があります。子宮内膜症、月経痛、卵巣出血や付属器炎などが挙げられます。また排尿との関連性のある痛みでは膀胱炎を考えます。
7.左下腹部痛
S状結腸には大腸憩室が多発する傾向があるため、大腸憩室炎の好発部位になります。また虚血性腸炎や潰瘍性大腸炎などの大腸の遠位部の大腸炎の症状も鑑別として挙げられます。腹部の膨隆があれば鼠径ヘルニアも考えられます。
8.臍部痛
腹部の正中である臍の部分の痛みは多彩な原因が挙げられます。急性膵炎や腸閉塞、急性腸炎、過敏性腸症候群などが鑑別となります。排便後に警戒する腹痛は過敏性腸症候群を考える痛みの経過です。
TESTING
腹痛の検査
腹部超音波
腹部超音波は安全な検査であり、診断能の高い検査になり、腹痛の精査で第一に選択される検査です。肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、腸管など幅広い疾患の診断に有用です。特に肝臓や胆嚢、腎臓の観察には高い威力を発揮します。胆嚢炎の際は胆嚢壁の肥大と胆嚢腫大、超音波のプローべを当てた時に痛みが増悪するサインも診断に有用です。
血液検査
炎症マーカー(白血球、CRP)、肝酵素(ビリルビン, AST, ALT)、膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)などで原因の精査を行います。特に肝機能異常や黄疸の所見を認めた場合は、緊急の処置が必要になるかの判断の材料になります。
腹部レントゲン
小腸や大腸の内部の空気を評価することで、腸管の閉塞所見が同定できる場合があります。また撮影条件によっては尿管結石が同定できます。肝臓の辺縁に空気の漏れ(フリーエアー)を認めた場合は、腸穿孔(腸が破れた)の可能性があります。
尿検査
尿潜血、尿中白血球が陽性の場合、尿路結石、尿路感染症などが考えられます。また女性では妊娠の可能性を検査することがあります。
胃カメラ(胃内視鏡検査)
特に心窩部痛の原因の精査として行われます。逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍、胃アニサキス症の診断と治 療が行われます。問診で食道や胃からの症状の可能性が高いと判断した場合に行われます。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)
過敏性腸症候群など大腸の内部に異常がないことを確認することが診断に必要になる病気もあります。また潰瘍性大腸炎やクローン病など慢性的に腹痛や下痢、血便などが継続する疾患も考慮が必要です。
TREATMENT
腹痛の治療
緊急性が高い場合は、手術の適応を含め高次医療機関への搬送が必要になる場合があります。緊急性が高くないと判断した際は、鎮痛剤の使用で症状を緩和しつつ、腸管蠕動改善薬や整腸剤などで経過を見ることもあります。腹痛の治療にはしっかりとした診断が必要です。腹痛でお困りの際は迷わず当院を受診してください。