2026.05.05
血便が出たけど痛くない…放置していい?消化器病専門医が教える受診の目安

「トイレに行ったら便に血が混じっていた。でも、お尻は全然痛くないし、一度きりだから大丈夫かな……」
内視鏡の専門外来で、私たちが日々耳にする言葉です。結論からお伝えします。「痛くない血便」こそ、決して放置してはいけません。
痛みがないことは、体が発している重大なサインを見逃すリスクを高めてしまいます。この記事では、広島の消化器・内視鏡専門医の視点から、血便の原因や受診すべき目安、そして広島で検査を受ける際のポイントを詳しく解説します。
目次
なぜ「痛くない血便」は放置すると危険なのか?
多くの方は「痛みがない=重症ではない」と考えがちですが、消化器疾患においてはその逆であることが少なくありません。
痛みがないのは「神経」の場所が関係している
お尻が痛む血便の代表は「切れ痔(裂肛)」です。肛門の出口付近は知覚神経が敏感なため、激しい痛みを伴います。 一方、直腸や大腸の粘膜自体には痛みを感じる神経がほとんどありません。 そのため、ポリープやがんが大きく成長し、便と擦れて出血していても、末期になるまで「痛み」として自覚することができないのです。血便を伴う細菌性腸炎も腹痛を引き起こしますが、これは炎症による腸の過剰な収縮や静止による腸の伸展が起こす痛みの割合が大きいといわれています。
「一度止まったから大丈夫」という誤解
血便が毎日続かず、数日で止まってしまうことがあります。これは「治った」のではなく、たまたまその時の便が硬くなかった、あるいは患部に触れなかっただけというケースがほとんどです。特に大腸がんは、出血したり止まったりを繰り返しながら進行していきます。
痛くない血便で考えられる主な原因
痛みがない場合、出血源は「肛門の内側」か「さらに奥の大腸」にあると考えられます。以下の病気が痛みのない血便で頻度が多い病気として挙げられます。
内痔核(いぼ痔)
肛門の内側にできるイボ状の腫れです。ここは痛みを感じない場所なので、排便時に鮮血がポタポタ出たり、紙にべっとり血がついたりします。「痔だから放っておいてもいい」と思われがちですが、自己判断は禁物です。
大腸ポリープ・大腸がん
もっとも警戒すべき原因です。ポリープ自体に痛みはありませんが、便が通過する際に表面が削れて出血します。特に広島県内でも、大腸がんの罹患率は増加傾向にあり、早期発見が生存率を大きく左右します。
大腸憩室(けいしつ)出血
腸の壁が外側に袋状に飛び出した「憩室」から出血する病気です。突然、大量の鮮血が出ることがありますが、腹痛を伴わないことが多いのが特徴です。高齢の方や便秘傾向の方に多く見られます。
潰瘍性大腸炎・クローン病
腸の粘膜に炎症が起きる病気です。腹痛を伴うこともありますが、初期段階では「粘液の混じった血便」だけが出ることもあります。近年、若年層を中心に増加している難病の一つです。
広島の専門医が教える「受診の目安」チェックリスト
以下の項目に一つでも当てはまる場合は、迷わず消化器内科、または肛門外科を受診してください。
便の色をチェック
鮮やかな赤色(鮮血便): 肛門に近い場所(直腸や痔)からの出血の可能性。
暗赤色・どす黒い赤: 大腸の奥の方(上行結腸や横行結腸)からの出血の可能性。
粘液混じり(粘血便): 腸の炎症や、進行したがんの可能性。
身体の変化をチェック
最近、便が細くなったと感じる。
下痢と便秘を繰り返すようになった。
お腹が張る感じがする。
急激に体重が減った。
年齢とリスクをチェック
40歳以上である
国の指針では大腸癌の罹患率が増える40歳から「便潜血検査」が始まりますが、実は便検査だけでは早期のポリープを見逃すこともあります。そのため、リスクが高まる40歳は「大腸カメラ・デビュー」の適切なタイミングとして推奨されます。
広島で大腸検査を受ける際の病院選びのポイント
「検査が怖い」「恥ずかしい」という思いから受診をためらう方も多いでしょう。広島市内には、患者さんの負担を軽減する工夫をしているクリニックが数多くあります。
内視鏡専門医による「痛くない検査」
最近の内視鏡検査は、鎮静剤(静脈麻酔)を使用して、眠っている間に終わらせることが可能です。広島市内の多くの専門クリニックでは、炭酸ガスを用いたお腹の張りにくい検査や、最新の拡大内視鏡を導入しています。
女性専用外来や個室完備
女性の方で「お尻の検査は抵抗がある」という場合は、女性医師が在籍するクリニックや、プライバシーに配慮した個室待機室がある施設を選ぶのがおすすめです。当院も女性医師による内視鏡検査日を設けておりますので気軽にご相談ください。
検査と同時にポリープ切除が可能か
もし検査中にポリープが見つかった場合、その場で切除(日帰り手術)できるクリニックを選ぶと、二度手間にならずに済みます。
まとめ:その血便、放置は「安心」を捨てること
「痛くないから大丈夫」と自分に言い聞かせるのは、病気が進行する時間をわざわざ作っているようなものです。
もし検査をして「ただの痔でした」と分かれば、それだけで明日からの生活がどれほど安心できるでしょうか。また、もしポリープが見つかったとしても、早期であれば内視鏡で切除するだけで完治し、将来のがんを予防することができます。
日本の医療水準は非常に高く、苦痛の少ない検査環境が整っています。恥ずかしがらず、怖がらず、まずは「消化器内科」の門を叩いてください。
「一度の検査が、あなたの人生を守ります。」
少しでも気になる血便があったら、今すぐお近くの専門医へ相談しましょう。


