診療コラム

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便秘の原因とは?便秘になりやすい生活習慣と改善方法

 

便秘の多くは、食事・水分・運動・排便習慣・ストレスといった生活習慣の積み重ねで起こります。そのため、原因に合わせて生活を見直すことで改善が期待できます。ただし、加齢や持病、服用中のお薬が関係していることもあり、セルフケアだけでは改善しないケースもあります。

この記事は、最近便秘が気になり始めた方から、長年の便秘に悩んでいる方まで、まず知っておきたい便秘の基本をまとめたものです。便秘の定義、主な原因とタイプ、なりやすい生活習慣、今日からできる改善方法、受診の目安を、消化器内科の視点から解説します。

便秘とは?回数だけでは決まらない

便秘は「本来体の外に出すべき便を、十分な量、快適に出せない状態」のことです。毎日出ないから便秘、というわけではありません。排便の回数だけでなく、便の硬さや、出すときの苦しさ、出たあとのすっきり感も含めて判断します。

排便の回数には個人差が大きく、一般に「1日3回〜週3回」程度であれば正常の範囲とされています。2〜3日に1回でも、すっきり出ていて困っていなければ、心配しすぎる必要はありません。

こんな状態が続いていたら「便秘症」かも

便秘症の診断では、国際的な基準(Rome Ⅳ基準)がよく用いられます。次の6項目のうち2つ以上が、数か月以上続いている場合は、治療の対象となる「慢性便秘症」の可能性があります。

 排便の4回に1回以上で、強くいきむ必要がある

排便の4回に1回以上で、便がコロコロ、または硬い

排便の4回に1回以上で、出たあとも残っている感じ(残便感)がある

排便の4回に1回以上で、肛門がつまった感じや出しにくさがある

 排便の4回に1回以上で、指で便をかき出すなどの手助けが必要

自然な排便が週に3回未満

 

当てはまる項目がある方も、まずはこの記事で紹介する生活習慣の見直しから始めてみましょう。改善しない場合は、医療機関で相談してください。

便秘の主な原因

便秘の原因はひとつとは限らず、いくつかの要因が重なっていることがほとんどです。

食事と水分の不足

便のもとになるのは食べたものです。食事の量が少ない、食物繊維が足りない、水分が足りないといった状態では、便の量が減って硬くなり、腸の中を進みにくくなります。極端なダイエットや、朝食を抜く習慣も便秘の原因になります。

運動不足

体を動かすと、腸も刺激を受けて動きが活発になります。デスクワークや在宅勤務で座っている時間が長いと、腸の動きが鈍くなりがちです。腹筋など、便を押し出す力に関わる筋力の低下も影響します。

便意を我慢する習慣

便意を感じたときにトイレを我慢することをくり返すと、直腸が便の刺激に鈍くなり、便意そのものを感じにくくなります。朝の忙しさや、外出先のトイレを避ける習慣がきっかけになることもあります。

ストレス・自律神経の乱れ

腸の動きは自律神経がコントロールしています。強いストレスや緊張、睡眠不足、不規則な生活が続くと、腸の動きが乱れて便秘になりやすくなります。腹痛を伴い、便秘と下痢をくり返す場合は、過敏性腸症候群の可能性もあります。

加齢・ホルモンの変化

年齢とともに腸の動きや筋力が低下し、食事や水分の量も減りやすくなるため、便秘は高齢になるほど増える傾向があります。また女性は、月経前や妊娠中に分泌が増える女性ホルモンの影響で、便秘になりやすい時期があります。

病気やお薬の影響

便秘は、ほかの病気やお薬が原因で起こることもあります。

便秘の原因になりうるもの

主な例

腸の病気

大腸がん、腸の炎症による狭窄など、便の通り道が狭くなる病気

全身の病気

甲状腺機能低下症、糖尿病、パーキンソン病、脳卒中の後遺症、うつ病など

お薬

一部の痛み止め(医療用麻薬)、抗うつ薬、抗コリン薬、鉄剤、一部の胃薬・降圧薬など

お薬が原因と思われる場合も、自己判断で中止せず、処方した医師や薬剤師に相談してください。

便秘のタイプ|自分はどれに近い?

便秘は、原因や症状の出方によっていくつかのタイプに分けられます。タイプによって効果的な対策が異なるため、自分の便秘の特徴を知っておくことが改善の近道です。

原因による分け方

器質性便秘

大腸がんや腸の狭窄など、腸の形の異常が原因で便が通りにくくなるタイプです。生活習慣の改善だけでは解決できないため、検査で原因を確認する必要があります。

機能性便秘

腸の形に異常はなく、腸の動きや感覚の乱れが原因で起こるタイプです。便秘の多くはこちらに当てはまります。このほか、病気の症状として起こる便秘や、お薬の副作用による便秘もあります。

症状による分け方(機能性便秘)

タイプ

主な特徴

対策のポイント

排便回数が少ない
タイプ

便意が少なく、何日も出ない。便が腸に長くとどまり、硬くなりやすい

食事量・食物繊維・水分を確保し、運動で腸の動きを促す

出しにくいタイプ

便意はあるのに、強くいきまないと出ない。残便感がある

便をやわらかく保ち、排便の姿勢を工夫する。便意を我慢しない

腹痛を伴うタイプ

ストレスで悪化しやすく、腹痛やお腹の張りがある。便秘と下痢をくり返すことも

ストレスケア・規則正しい生活。過敏性腸症候群の可能性もあるため医師に相談

実際には、いくつかのタイプが重なっていることもよくあります。

便秘になりやすい人・生活習慣チェック

便秘は誰にでも起こりうる症状ですが、若い世代では女性に多く、高齢になると男女とも増える傾向があります。次の項目に当てはまるものが多いほど、腸に負担がかかりやすい生活習慣といえます。

食事・水分

朝食を抜くことが多い

野菜・海藻・豆類・きのこを食べる機会が少ない

主食を減らすダイエットや、食事量を極端に減らしている

水やお茶をあまり飲まない

 

運動・生活リズム

1日の大半を座って過ごし、歩く機会が少ない

起きる時間や食事の時間が日によってばらばら

睡眠不足が続いている

仕事や家庭でストレスを感じることが多い

 

排便習慣

朝は忙しく、トイレに行く時間がない

便意があっても我慢することが多い

市販の便秘薬に頼りがちで、量が増えてきた

 

当てはまった項目が、あなたの便秘の原因に近いところです。次の章では、項目ごとの改善方法を紹介します。

便秘を改善・解消する方法

便秘の改善は、生活習慣の見直しが基本です。どれか1つだけでなく、食事・運動・排便習慣・ストレスケアを組み合わせると効果を感じやすくなります。すぐに結果が出なくても、2〜4週間ほど続けてみましょう。

食事|食物繊維と水分をセットでとる

1日3食、とくに朝食をとる。食事をすると大腸が動き出すため、朝食は便意のきっかけになります。

食物繊維は、成人で1日あたり男性20〜22g以上、女性18g以上が目標です。主食に玄米や雑穀、もち麦を混ぜる、汁物にきのこや海藻を加えるなどの工夫で増やしましょう。便が硬い方は、海藻・オートミール・果物など、便をやわらかくする水溶性食物繊維を意識します

水分は、飲み物から1日1.2〜1.5L程度を目安に、こまめにとります。起床後のコップ1杯の水もおすすめです。ヨーグルトや納豆などの発酵食品は、食物繊維と組み合わせて補助的に取り入れましょう。

運動|毎日こまめに体を動かす

1日20〜30分程度のウォーキングなど、続けやすい有酸素運動を取り入れましょう。デスクワーク中も、1時間に1回は立ち上がって体を動かします。体をひねるストレッチや、腹式呼吸も腸の刺激になります。

排便習慣|「朝食後のトイレタイム」をつくる

便意がなくても、毎朝、朝食後にトイレに座る時間をつくりましょう。腸が動きやすいタイミングです。便意を感じたら、我慢せずにトイレに行きます。トイレで長時間いきみ続けるのは避け、5分程度出なければいったん切り上げましょう。

排便の姿勢|前かがみで出しやすく

洋式トイレでは、前かがみになり、かかとを少し上げるか、足元に10〜20cmほどの台を置いてひざを高くすると、直腸から肛門への角度がまっすぐに近づき、便が出しやすくなります。とくに「出しにくいタイプ」の便秘の方におすすめです。

ストレスケアと睡眠

ぬるめのお湯での入浴、深呼吸、軽いストレッチなど、自分に合ったリラックス方法を取り入れましょう。毎日同じ時間に起きて、睡眠時間をしっかり確保します。生活リズムが整うと、腸のリズムも整いやすくなります。

お腹のマッサージ

おへその周りを、時計回りに「の」の字を描くようにやさしくさすります。就寝前や起床時に、数分程度行いましょう。

市販の便秘薬との付き合い方

生活習慣の見直しと並行して、つらいときに市販の便秘薬を使うこと自体は問題ありません。ただし、使い方には注意が必要です。

刺激性の便秘薬は「ときどき」に

市販薬の多くは、腸を刺激して動かすタイプ(センナ、ビサコジルなどを含むもの)です。毎日続けて使うと効きにくくなり、量が増えていくことがあります。

用法・用量を守る

効かないからと自己判断で量を増やすと、強い腹痛や下痢の原因になります。

持病のある方は相談してから

腎臓の病気がある方や、ほかのお薬を飲んでいる方は、成分によって注意が必要なことがあります。購入前に薬剤師に相談しましょう。

 

「市販薬がないと出ない」「だんだん量が増えている」という状態は、受診を考えるサインです。病院では、便をやわらかくするお薬や、腸の水分分泌を促すお薬など、刺激性以外の選択肢も含めて、体に合ったお薬を選ぶことができます。

セルフケアで改善しないとき・受診のサイン

生活習慣の見直しを2〜4週間続けても改善しない場合や、次のような「いつもと違う便秘」のサインがある場合は、消化器内科を受診しましょう。

  • 急に便秘になった、便秘がひどくなった
  • 血便や黒い便が出る
  • 便が細くなった
  • 便秘と下痢をくり返す
  • 意図しない体重減少や貧血がある
  • 市販薬が効かない、量が増えている
  • 50歳を過ぎてから便秘が始まった

こうしたサインがある場合、大腸がんなど腸の病気が隠れていないかを、大腸内視鏡検査などで確認します。多くの場合は大きな病気は見つかりませんが、原因をはっきりさせることで、安心して治療に取り組めます。

なお、強い腹痛や嘔吐があり、便もおならも出ない場合は、腸閉塞の可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。

便秘の悩み別に詳しく知りたい方へ

こんな方は

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まとめ|原因を知って、自分に合った改善を

便秘は回数だけでなく、「快適に出せているか」で判断します。主な原因は、食事・水分の不足、運動不足、便意の我慢、ストレス、加齢です。病気やお薬が関係していることもあります。便秘には「回数が少ない」「出しにくい」「腹痛を伴う」などのタイプがあり、タイプに合った対策が効果的です。

改善の基本は、食物繊維と水分、毎日の運動、朝食後のトイレ習慣、排便の姿勢、ストレスケアの組み合わせです。市販の刺激性便秘薬は、頼りすぎないことが大切です。

セルフケアで改善しないときや、血便・体重減少・急な便通の変化があるときは、消化器内科に相談しましょう。

便秘は「体質だから」とあきらめる必要のない症状です。原因に合わせた対策で、毎日をすっきり過ごせるよう、できることから始めてみてください。