診療コラム

COLUMN

便秘が続くときは病院へ行くべき?受診の目安と検査について

 

便秘が続いてつらいなら、日数にかかわらず病院に相談してかまいません。受診先は消化器内科・胃腸内科が基本です。血便や体重減少などのサインがあれば、早めの受診をおすすめします。

「便秘くらいで病院に行っていいの?」「何科に行けばいい?」「どんな検査をされるの?」。この記事では、受診を迷っている方のこうした疑問にお答えします。受診の目安、受診先の選び方、病院で行う検査と治療の流れを、消化器内科の視点から順に解説します。

便秘で病院に行ってもいい?

便秘は、立派な診療の対象です。日本消化管学会の「便通異常症診療ガイドライン2023 慢性便秘症」でも、便秘によって日常生活や体に支障が出ている状態は「便秘症」として、治療の対象とされています。

回数だけで判断しなくてよい

「毎日出ないと便秘」と思われがちですが、大切なのは回数よりも「すっきり出ているか」「困っているか」です。たとえば、次のような状態が続いている場合は、相談してよいサインです。

 

  • 排便が週3回より少ない状態が続いている
  • 強くいきまないと出ない
  • 便がコロコロと硬い
  • 出たあとも残っている感じ(残便感)がある
  • お腹の張りや不快感で日常生活がつらい

逆に、3日に1回程度でも、すっきり出ていて困っていなければ、心配しすぎる必要はありません。

「慣れているから」と我慢し続けないで

長く便秘が続いている方ほど、つらさに慣れてしまい、「体質だから」と相談をあきらめてしまいがちです。市販薬でしのいでいる、市販薬の量が増えてきた、という方も、一度受診して原因や体に合った治療を確認することをおすすめします。

便秘は何科を受診する?

便秘で受診するなら、消化器内科・胃腸内科が基本です。腸の病気の診断や、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)などの検査に対応しています。症状やお困りごとによっては、ほかの診療科が適していることもあります。

 

こんなとき

受診先の目安

便秘が続く、お腹が張る、便秘薬が効かない

消化器内科・胃腸内科

血便がある、便潜血陽性といわれた、大腸の検査を受けたい

消化器内科・内視鏡内科(大腸カメラができる医療機関)

肛門の痛み・出血、痔が気になる

肛門外科(肛門科)、または肛門の診察ができる消化器内科

近くに消化器内科がない、ほかの持病で通院中

かかりつけの内科でまず相談

子どもの便秘

小児科

迷ったときは、大腸内視鏡検査まで対応できる消化器内科を選ぶと、必要な検査をスムーズに受けられます。

便秘の受診の目安|日数より「症状のサイン」で判断

「何日出なければ病院に行くべき?」というご質問をよくいただきます。ただ、受診の目安は日数だけでは決まりません。次の表を参考に、症状の内容で判断しましょう。

 

受診の目安

症状・状況

すぐに医療機関へ(夜間・休日も)

強い腹痛がある/吐き気・嘔吐がある/お腹が大きく張り、便もおならも出ない/大量の血便がある

できるだけ早く消化器内科へ

血便・黒い便がある/便潜血検査で陽性といわれた/原因のわからない体重減少や貧血がある/お腹にしこりを触れる/急に便秘になった、便が細くなった

一度、消化器内科で相談を

便秘が数週間以上続く/市販薬が効かない、量が増えてきた/便秘と下痢をくり返す/お腹の張りや残便感で生活がつらい

とくに検査をおすすめしたい方

次に当てはまる方は、症状が軽くても、大腸内視鏡検査で腸の状態を確認しておくと安心です。

 

  • 50歳以上になってから便秘が始まった
  • 家族(親・きょうだい・子)に大腸がんになった人がいる
  • 大腸ポリープや炎症性腸疾患など、大腸の病気にかかったことがある
  • 40歳以上で、一度も大腸の検査を受けたことがない

便秘で病院に行くと、どんな検査をする?

便秘の検査には、大きく2つの目的があります。1つは、大腸がんや腸の狭窄など、便秘の原因となる病気がないかを確認すること。もう1つは、便秘のタイプを見極めて、体に合った治療を選ぶことです。すべての方にすべての検査を行うわけではなく、症状や年齢に応じて必要なものを選びます。

 

検査

わかること

体への負担

問診・診察

便秘の経過、便の状態、服用中のお薬、持病の影響。お腹の触診や、必要に応じて肛門の診察も行う

ほとんどない

血液検査

貧血、炎症、甲状腺の機能、血糖値、電解質など、便秘に関係する全身の状態

採血のみ

腹部レントゲン(X線)検査

大腸のどこに便やガスがたまっているか。便秘のタイプや程度の目安になる

撮影のみ

便潜血検査

便に目に見えない血液が混じっていないか

便を採取するだけ

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸がん・ポリープ・炎症などの有無を直接確認。ポリープはその場で切除できることもある

事前の食事制限と下剤の服用が必要

大腸内視鏡検査が必要になるのはどんなとき?

血便、便潜血陽性、貧血、体重減少などのサインがある方や、50歳以上で便秘が始まった方、大腸の病気の家族歴がある方には、大腸内視鏡検査をおすすめします。これは、便秘の原因になる病気がないかを確認するためです。検査で異常がないとわかることも、安心して便秘の治療を進めるための大切な情報になります。

なお、便秘が重く、ふつうの治療で改善しない場合は、腸の動きや排便の機能を詳しく調べる専門的な検査を行うことがあります。必要に応じて、専門の医療機関をご紹介します。

 

受診の流れと、準備しておくとよいこと

一般的な受診の流れ

 

  1. 受付・問診票の記入
    便秘の期間や症状、服用中のお薬などを記入します。
  2. 医師の診察
    問診とお腹の診察を行い、必要な検査を判断します。
  3. 検査
    血液検査やレントゲンなど、その日にできる検査を行います。大腸内視鏡検査は、下剤の準備が必要なため、後日予約して行うのが一般的です。
  4. 結果の説明と治療方針の相談
    検査結果をもとに、生活習慣のアドバイスやお薬の処方を行います。

持っていくもの

 

  • 保険証(マイナ保険証)
  • お薬手帳、または服用中のお薬(市販の便秘薬・サプリメントも含む)
  • 健診結果(便潜血検査の結果など)があれば

医師に伝えるとよいこと

次のような点をメモしておくと、診察がスムーズになり、原因の見極めにも役立ちます。

 

  • いつごろから便秘になったか、最近変化があったか
  • 排便の回数と、便の形や硬さ(コロコロ・硬い・やわらかいなど)
  • いきみ・残便感・お腹の張り・腹痛の有無
  • 血便や体重減少の有無
  • 使っている便秘薬の種類と量、効き具合
  • ご家族に大腸の病気になった方がいるか

受診の1〜2週間前から、排便の日時と便の状態を簡単に記録しておくと、より正確に伝えられます。

 

病院での便秘の治療

検査で大きな病気がないことを確認したら、便秘のタイプや症状に合わせて治療を進めます。

生活習慣のアドバイス

治療の土台になるのは、食事・水分・運動・排便習慣の見直しです。患者さんの生活に合わせて、無理なく続けられる方法を一緒に考えます。

お薬による治療

病院で処方する便秘薬には、便に水分を含ませてやわらかくするお薬、腸からの水分の分泌を促すお薬、腸の動きを助けるお薬など、いくつかの種類があります。便の硬さや排便の回数、お腹の張りの有無などをみて、体に合ったお薬を選び、量を調整します。

市販の便秘薬には、腸を刺激して動かすタイプが多くあります。自己判断で長く使い続けたり量を増やしたりすると、効きにくくなったり、腹痛が出やすくなったりすることもあります。「市販薬が手放せない」という方こそ、一度ご相談ください。

便秘の背景にある病気やお薬への対応

甲状腺の病気や糖尿病などの持病、ほかの病気で飲んでいるお薬が便秘の原因になっていることもあります。その場合は、持病の治療や、主治医と相談のうえでのお薬の見直しもあわせて検討します。

 

まとめ|迷ったら、まず一度相談を

便秘は診療の対象です。回数より「すっきり出ているか」「困っているか」で判断しましょう。受診先は消化器内科・胃腸内科が基本です。大腸カメラまで対応できる医療機関だと、検査がスムーズです。

強い腹痛・嘔吐・便もおならも出ない場合はすぐに、血便・体重減少・便潜血陽性などがあれば早めに受診しましょう。検査は問診・血液検査・レントゲンなどから始め、必要に応じて大腸内視鏡検査を行います。受診時はお薬手帳と、排便の様子のメモがあると役立ちます。

便秘は、体に合った治療を見つけることで、つらさを軽くできることが多い症状です。「こんなことで受診していいのかな」とためらわず、気になることがあればお気軽にご相談ください。